The Global Startup Ecosystem Report 2022

新興エコシステムで強いコミュニティ意識を醸成するための3つのポイント

この寄稿文は、著者が個人的な立場で作成したものです。本記事で述べられている意見は、著者個人のものであり、必ずしもスタートアップゲノムの見解や立場を反映するものではありません。

Damilola Teidi-Ayoola undefined

Co-creation Hubのスタートアップ支援ディレクター (インキュベーションとアクセラレーション)として、Damilola Teidi-Ayoola 氏は、アフリカのテクノロジー企業を支援する強力な全アフリカプログラムを構築し、スタートアップを直接サポートする業務に携わっている。また、幅広い主要なステークホルダーと協力し、アフリカ大陸で高成長企業が成長できるようなエコシステムを構築している。
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“コミュニティは時間の無駄ではなく、必要不可欠な要素である。”

起業は孤独な旅だ。共同創業者が何人いようが、親がどんなに協力的であろうが関係ない。私は経験をしてきたからこそ言えるのだ。会社を立ち上げ、成長させるのは大変なことだ。それを乗り越えていくには、他の創業者を含むコミュニティの感覚が必要だ。

コミュニティは個々のスタートアップとエコシステム全体の成功に欠かせない。オンラインとオフラインのハブは、創業者、イノベーター、その他のエコシステムのプレーヤーが互いに学び、共創の機会を見出すことができる、知識交換の場として機能する。

その良い例が、ハッカソンから生まれたナイジェリアの市民団体「BudgIT」だ。アイデアは単純、ナイジェリアの予算を庶民が理解できるように翻訳するにはどうしたらいいか?だ。コミュニティと共創の力で、当時CcHUBにいたデザイナーと開発者のチームが、市民が好きなように予算をスライスし視覚化できるアプリを作ることを支援した。アプリは24時間以内に完成した。リリースすると、あっという間に人気が出てクラッシュしてしまった。BudgITは、その後、複数の拠点と多くの従業員を抱える有力な市民団体に成長した。ハッカソンでの物理的な集まりと、コミュニティの力が、今日の成功した会社の初期を構成したのである。

強力なスタートアップ・エコシステムの中には、このようなコミュニティが大きな影響を与えた事例が数多くある。コミュニティは情報源でもある。新しいプログラムやミートアップ、その他利益をもたらす可能性のある機会がある場合、地元のスタートアップコミュニティに所属していれば、それを知る可能性は高くなる。しかし、どのようにコミュニティを作ればいいのだろう?

ナイジェリアのラゴスに本社を置くイノベーションセンター、Co-creation Hub (CC Hub)のスタートアップ支援ディレクターとしての私の仕事の一つに、私たちのエコシステムとアフリカの他のエコシステムの両方でコミュニティを育成することがある。これまでの経験から、強力なスタートアップ・コミュニティには、特に新しいエコシステムにおけるコミュニティ形成に不可欠な要素があることを学んだ。


1.主体性 - 誰かがやってくれるのを待たない

先日、ボツワナとナミビアを訪れ、創業者の方々と関わった。どちらの場所でも、同じ質問を何度も何度も耳にした。私たちはサイロ (縦割り組織)で仕事をしている。どうすれば機会やアイデアを共有できる場をもっと増やせるのか。

私は何度も同じ答えを提示した。誰かが組織するのを待ってはいけない。誰かがしてくれるのを待つのではなく、自分で始める。そうやってコミュニティを作るのだ。月1回や隔月で開催されるミートアップのような簡単なものから始め、創業者がビジネスを始めるために必要なリソースを入手できるオンライン・プラットフォームを作ることから始める。そのプラットフォームには、議論や知識の共有を促進するためのフォーラムセクションを設けるとよい。

政府の支援や、特定のステークホルダーや組織の許可が必要だと思うかもしれない。しかし、こうしたことは後からついてくることもあるので、とにかく始める。最初は数字が小さくても、時間が経てば大きくなる。やがて、無視できないほど大きな存在になるのだ。政府や大きな組織も注目し始め、あなたが構築しているエコシステムをどのようにサポートできるかを尋ねてくるだろう。そうなれば、すでにコミュニティを形成しているので、意見を言うことができ、よりよい政策につながるかもしれない。

2.インフラ - オンラインとオフライン、双方のインフラが支え合う

ラゴスのスタートアップ・コミュニティは今でこそ非常に強力であるが、昔はそうではなかった。インフラ整備は、コミュニティやエコシステムを構築する上で重要な役割を担う。9年前、CcHUBは、MainOne、Technovision、そしてラゴス州政府を含むコア実行パートナーのコンソーシアムを構成した。MainOneは州の協力を得て、iHQの光ファイバーケーブルの敷設を開始し、CcHUBのあるYaba (ナイジェリアの首都ラゴスの一地域)をカバーすることに成功した。

つまり、この界隈はインターネットが充実しており、すぐに30社以上のテクノロジー企業が集まるようになったということだ。この地域で何かイベントがあれば、すぐにみんなが集まり、技術者コミュニティが生まれ始めた。

オフラインのインフラが無形のコミュニティを構築し、その無形のコミュニティ意識がオフラインのインフラの強化につながる。これはポジティブなフィードバックループだ。


3. 知見 - 成功だけでなく失敗も共有する

ミートアップ、フォーラム、アソシエーション、ハッカソンなどは、コミュニティを形成するための素晴らしい方法だ。しかし、このような取り組みができるだけインパクトのあるものになるためには、参加者が学習だけでなく、苦労や失敗も含めてオープンで誠実に共有する必要がある。

ラゴスのエコシステムの初期、ナイジェリアでの会社設立の経験や起業についての話は、IROKOの創業者であるJason Njoku 氏のような創業者たちから発信されていた。これらの創業者たちは、非常に寛大で透明性があり、ブログの投稿やイベントを通じて、自分たちの挑戦と成功を分かち合った。Jason 氏の率直さは、人気を集めたが、彼の共有はコミュニティの繁栄と成長にも繋がった。

正直な知見を共有しようとする姿勢は、人々を集め議論を活性化させる。困難や失敗を含め、自分の遍歴を共有することは、人々を元気付け、失敗を避けるのに役立つ。

時々、忙しい創業者たちからミートアップやインキュベーションプログラム、あるいはハブの一員であることは時間の無駄だと言われる。しかし、新しいエコシステムでは成功はたいてい共有される。エコシステムは、私たちを持ち上げ、私たちが苦労しているときにはサポートしてくれる。そして、共同創業者や素晴らしいアイデアの数々を提供してくれる。コミュニティは時間の無駄ではなく、必要不可欠な要素なのだ。より強固なコミュニティ意識を築くために、時間を割く価値は十分にある。