ロンドンのテックシーンとは。世界規模で競争するワールドクラスのエコシステム

ロンドンのテクノロジー・ゴールドラッシュ

国家ランキングとして名高いUS News Best Countries Indexの最新版では、イギリスは8位にランクイン、外的環境の変化に対する迅速な対応や世界との繋がり、教育水準、起業家精神、デジタルインフラの質、法的枠組みなど、テクノロジーとビジネスに関連する分野で特に高いスコアを獲得している。

ロンドンのVCであるPassion Capitalのパートナー Eileen Burbidge氏は、「ロンドンのハイテク企業が資金調達のあらゆるラウンドにおいて豊富な資金を集めていることは、ロンドンのエコシステムが本当の意味で繁栄し、現地の起業家が必要十分な支援を受けていることを示すものとして、非常に素晴らしいことだ」と述べている。

急成長する分野での強さ

ハイテクハブとしての強みを活かし、FinTech、CleanTech、EdTech、PropTechなど急成長分野のスタートアップ企業にとってロンドンは理想的な場所となっている。

またいわゆるインパクトエコノミーが成長するにつれ、社会問題や環境問題に対してポジティブで測定可能な変化を達成することを目的としたスタートアップの数も増えている。イギリスのインパクト・スタートアップへの投資は、2014年から2019年の間に9倍に増加し、CleanTechとClimateTechの企業が特に資金を集めている。

スキルのマグネット

ロンドンは、近隣の大学都市であるオックスフォードとケンブリッジ (いずれも首都から2時間以内)とともに熟練した人材が集まる、いわゆるゴールデントライアングルの一角を占めている 。ロンドンにおいても世界トップ40の大学のうち4校が拠点をおいており、世界レベルの人材と研究への比類なきアクセスを実現している。

また、ロンドンはデジタル人材にとって最も魅力的な都市であることも特徴だ。ボストンコンサルティンググループの世界的な調査によると、他国の都市への転勤を希望する技術者にとってロンドンが引き続き第一の選択肢であることが示されている。この都市の多文化主義や市場、言語、文化に関する多様な知識体系は、グローバルな規模拡大を目指す企業にとって理想的だといえる。

テクノロジーに精通した意識の高い消費者と優れた市場アクセス

ロンドンのハイテクに関する強みの多くは、ハイテクに精通し、意識の高い消費者市場がなければほとんど意味をなさないだろう。ロンドンは、音楽、エンターテイメント、ファッション、小売など、多くの革新的なアイデアや産業の実験場となっている。ロンドン市民は新しい体験に対してオープンであり、日常的な製品やサービスにテクノロジーが統合されることを歓迎する傾向にある。

消費者側の特徴として、イギリスではお金の使い方に対する意識の高まりにより、持続可能で倫理的な企業やサービス、製品が好まれることが挙げられる。アクセンチュアの調査によると、イギリスの成人の3分の1がブランドに対し、事業が環境に与える影響についての報告を期待していることがわかっている。

さらに、ロンドンは世界市場へのアクセスも抜群である。イギリスやヨーロッパの消費者に簡単にアクセスできるだけでなく、ロンドンのスタートアップはグローバルマーケットへの拡大を目指す際にエコシステムからの献身的なサポートとコネクションの恩恵を受けることができる。たとえば、イギリスの技術系企業やリーダーに向けた官民連携の成長プラットフォームであるTech Nation、およびStartup Genomeは共同でアジアでの市場拡大に関する調査を実施した。

データに基いたアジアのエコシステムに関する分析は、イギリスを拠点とするスケールアップが地理的な市場拡大に最適なエコシステムを評価することを支援するのを目的としている。その結果、シンガポールは関係性や優れたソフトランディングサポートのおかげで最も良いな場所であり、イギリスのスケールアップはソウル、東京、メルボルン、シドニーにもアクセスしやすいことが分かった。

技術系スタートアップと投資家にとって、ロンドンには多くの魅力がある。