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ヨーロッパのインサイト、ランキング、エコシステムのページ
ヨーロッパのスタートアップ、およびスケールアップは、イギリス、ドイツ、フランスに大きく集中しており、本地域のスタートアップ・スケールアップの上位1,000社のうち、約3分の2はこれらの国のいずれかで設立されている。2021年には、ドイツとオランダが共にエコシステム全体で前年比200%以上の成長を遂げ、スペインは400%以上の成長を遂げた。また、イギリス以外の国に対する投資額の割合も増加した。また、エストニアはヨーロッパで最も小さな国の一つだが、一人当たりのスタートアップ数は1,048社、一人当たりの投資額は1,967ユーロで、いずれもヨーロッパの他の国を上回っている。
2021年は、本地域におけるスタートアップへの投資額、投資件数、Exit額のすべてが過去最高を記録した。ヨーロッパでは2021年に10,000件を超えるスタートアップ投資が実施され、評価額総額は約1,030億ユーロに上ったが、そのうち約2,900件、調達総額にして99億ユーロがプレシード・シード調達によるものであった。また2020年(約2,400件の投資件数、調達総額は36億ユーロ)と比較すると、2021年は、それぞれ約5倍 (投資件数)、28倍以上(調達総額)であり、エコシステムの急速な成長が伺える結果となった。
また2021年はヨーロッパのTech系スタートアップの株式価値総額も最大となった。Dealroom、Atomicoの調査によると、この株式価値総額は2021年に初めて3兆ドルを超えた (公開市場と非公開市場の両方のスタートアップを考慮)。
ストックホルムの電池メーカーNorthvoltは2021年7月の資金調達で27億5000万ドルを調達、ヘルシンキ創業のフードデリバリー企業Woltは11月に81億ドルで買収、フィンテックKlarnaは3月に10億ドルを調達し、当時欧州で最も価値の高い未上場Fintech企業となっている。
この成長の原動力の1つは国際的な投資会社によるヨーロッパのスタートアップに対する関心の高まりである。SoftBank、Tiger Global、Coatue、Balderton Capitalなどがヨーロッパのスタートアップに注目し、Balderton Capitalだけでも2021年に2つの新規ファンド、総額で約13億ドルを確保した。
主な調査結果
ヨーロッパのVCによる資金調達額は、2021年には2020年比で128%増加し、あらゆるステージで増加した。
そのうち、アーリーステージに対する資金調達額は、2020年から2021年にかけて47%増加した。
5000万ドル以上のExit数は、2020年から2021年にかけて68%増加した。
ヘルシンキはエコシステムランキングにおいて、2021年の59位から今年は31位タイと20以上順位を上げた。本地域では、フードデリバリーのWoltが2021年11月にDoorDashに81億ドルで買収されるなど、5000万ドル以上のExitが7件あり、対象期間中に2社のユニコーンを輩出した。
コペンハーゲンも昨年のランキング43位から35位に同率でランクインした。本地域では、Unityが2020年9月のIPO時に137億ドルの評価を受けるなど、10億ドル以上のExitが2件行われた。
2021年、ロンドンにおけるExitのドル換算額は2020年から413%増加した。またシリーズB以上のラウンドにおける調達額は2020年からドル換算で162%増加し、2021年には2020年に比べて5000万ドル以上のExitが55%増加した。
新興エコシステムのランキングでは、ノルウェーの首都オスロが昨年から22ランクアップし19位となった。ノルウェーのエコシステムは、調査期間中に産業用IoTプラットフォームを提供するCogniteとオンラインスーパーマーケットを提供するOdaという2つのユニコーンを生み出し、マーケットの拡大に貢献している。