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La Trobe Universityがスタートアップの成功を加速させる方法
ビクトリア州がスタートアップのエコシステムとして台頭してきたのは、大学の研究開発力の高さによるところが大きい。メルボルンにあるLa Trobe Universityは、イノベーションだけでなく、イノベーションを市場に送り出すことに長けた創業者も輩出している。
La Trobe Universityのイノベーションとアントレプレナーシッププログラムは、起業を考えている学生から、自分の技術の検証を求める新しい創業者や事業規模を拡大しようとしている中小企業の経営者まで、すべての人を対象としている。スタートアップの立ち上げ、スキルの開発、築かれた人脈といった形で、その影響はビクトリア州、オーストラリア全土、そして世界中に及んでいる。
初日から世界に目を向けて
特にオーストラリアの起業家は、初日からグローバルな姿勢が必要だ。国内市場が小さいため、多くのスタートアップは、海外の顧客向けに製品や戦略を設計し、国際的なネットワークを構築することで規模を拡大する。2022年まで実施されたLa Trobe Universityのグローバルマーケットアクセラレータプログラムは、対外志向の創業者が海外でビジネスを行うためのノウハウを学び、人脈を作るのを大学がいかに支援しているかを例証している。
AusIndustryが主催するこのプログラムでは、インド、東南アジア、APEC諸国、EU、イギリスのエコシステムの専門家が参加している。8週間のフィージビリティスタディの後、参加者は6ヶ月間の市場調査へと進み、現地で過ごすという貴重な経験を行う。インドネシアで急成長しているテックハブのInnovation Factory、ヨーロッパでNo.1の大学連携アクセラレーター、国内外の1,800以上のスタートアップと提携しているインドのエコシステム、Tech-Hubなど、La Trobe Universityが誇るイノベーションパートナーのいずれかと連携し、創業して間もない起業家たちが、それぞれの分野で活躍した。また、La Trobe Universityが提供する国際的なコーチや専門家、インターンも創業者をサポートした。
スタートアップは、このアクセラレータープログラムを通じて、その国特有の戦略や、それを実行するために必要な潜在顧客、販売業者、投資家、役員、従業員などとのコンタクトを獲得した。このプログラムの第1期生に参加したオーストラリアのスタートアップ14社は、孤独な高齢者のためのバーチャルリアリティシステムや、教育機関が教師を迅速に採用できるプラットフォームなど、普遍的な問題に対する解決策を開発した。また、パンデミックによる混乱の中でも、14社すべてがそれぞれの市場で売上を大幅に伸ばした。
アクセラレーターの参加者は次のように話す。「コーチは、私たちが強固な基盤を持つことを保証してくれた。チャンスが巡ってきたとき、ピボットして適応することが要求された。私たちは、今回学んだことを活かして、どんなことができるのか楽しみにしている。」ローカルイノベーションの育成
より身近なところでは、第2期が進行中のStartup Central Victoriaがあり、グレーターベンディンゴ市をはじめとする5つの自治体で、創業者がチャンスを掴み、リソースを活用するための一連の無料イベントやプログラムが行われている。2021年に開催されたRegional Opportunities Forumには、ロボット工学、AgTech、small-town revitalizationなど、地域の有望な分野に興味を持つ57人の起業家志望者が集まった。ハッカソンでは、起業家精神旺盛な参加者をチームに分け、メンターをつけて、ゼロからスタートアップを設計することに挑戦し、その過程でスキルを磨き、新たなスキルを身につけた。
Startup Central Victoriaは、15社のスタートアップやスケールアップを対象としたオンラインのAcceleratorも提供した。このプログラムは、「グラフィックデザインのビジネスをどのように成長させるかについて考える場を与えてくれた。メルボルンのクライアントに依存するのではなく、この地域でもっと積極的に活動しようという気になった。」と、CastlemaineキャッスルメインのRebecca Rose 氏は言った。
La Trobe Universityは、将来有望な起業家だけでなく、生き残りをかけて奮闘する既存の企業も支援している。COVID-19によって多くの地元中小企業が倒産したり、収益を減らされたりしたとき、La Trobe Universityはデジタル化が命綱になることをすぐに認識した。La Trobe Universityは、複数のパートナーと協力し、ビジネスモデルを適応させ、新しい技術を取り入れ、デジタルの未来に備えて自分自身と従業員のスキルを高めようとする経営者のために、無料のオンラインプログラム「COVID-19 Industry Response」を迅速に開発した。このプログラムは4回実施され、1,500人の起業家を支援した。「少なくとも1つは新しいスキルを身につけたいと思って参加した。スキルと自信、そして自分は一人ではないという感覚を得ることができた。」と農業関連企業に勤める参加者は話した。
コミュニティの構築
スタートアップのエコシステムの要は、情熱的な創業者とその創造的なチームが互いにサポートし、助言し、協力し合うコミュニティだ。La Trobe Universityの最新プログラムは、まさにそれを実現させる。このプログラムは、ビクトリア州最大のコワーキングスペースであり、Tech系スタートアップのハブであるFisbburnersで、大学内の意欲的な起業家と同じ考えを持つ創業者たちを引き合わせるというものだ。
La Trobe Fishburners Founders Hubは、100%バーチャルなコミュニティだ。そこでは、同じ道を歩む創業者たちが、会社づくりのベテランからお互いに学び合う。ここで築かれた人脈は、オーストラリアの次の大きなサクセスストーリーの原動力となるだろう。FishburnersのCEOであるNicole O'Brien 氏は、「つながりのあるエコシステムの一部であることは、スタートアップの成功の核心である。私たちは、ビクトリア州全体の起業家を結びつけ、支援するために協力することを楽しみにしている。」
スタートアップの旅は、どこかで始めなければいけない。La Trobe Universityでは、学生起業家支援プログラムを実施している。このプログラムは、新しいビジネスを始めることを考えている人たちのための入り口である。ワークショップ、プログラム、イベント、インターンシップを通して、学生はこの創造性豊かな領域でのキャリアに備えることができる。
EdTechのスタートアップに就職した学生は次のように語った。「インターンシップは......自分のスキルや経験を新しい業界で実践し、承継する素晴らしいものだった。チームの人たちもとても歓迎してくれ、新しい働き方を学ぶことができた。
La Trobe Universityのイノベーションと起業家精神は、産業界との関係によってさらに強化されている。パートナー企業は、La Trobe Universityのキャンパスで共同研究を行い、研究開発で協力し、大学の人材と起業家育成の努力を支援している。その結果、既存および新規のイノベーターたちのネットワークが、この地域と世界を変えていくことになる。
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