The Global Startup Ecosystem Report 2022

ポルトガルを発見する。スタートアップへの卓越した価値提供

ポルトガルのスタートアップ・エコシステムは成長を続けており、それを支える意思決定者や組織は、その勢いをさらに加速させようとしている。現地のコミュニティは、より多くの国際的な才能を惹きつけ、維持するために前進し続け、大企業とのパートナーシップを築くことで、スタートアップがヨーロッパをはじめとする世界中の市場にアクセスすることをかつてないほど容易にしている。
 
ポルトガルのスタートアップ・エコシステムの歴史は、2000年代初頭にまでさかのぼる。それ以来、高い教育水準の大学に支えられたトップクラスの人材、7つのユニコーンを輩出した活発なコミュニティ、世界クラスのデジタルインフラを利用できることから、ポルトガルは世界中のスタートアップが集まる場所として人気を博している。また2016年、ポルトガル政府は構造的支援、資金調達、国際化の取り組みを強化し、起業家精神を育成する国家戦略の一環として、Startup Portugalを創設し、同国のスタートアップ・エコシステムを活性化させた。



活気あふれる起業家コミュニティ

2,200社以上のスタートアップが登録され、ポルトガルのスタートアップ・コミュニティは活況を呈している。2021年、ポルトガルのスタートアップ・エコシステムは10億ドル以上の資金を獲得したが、これは前年比100%の成長率にあたる。エコシステムに投資されたVC資金総額は、2017年から2021年にかけて15倍という目覚ましい成長を遂げており、主にレイトステージ資金が55倍となった。民間資金や、200M Fundのような共同投資イニシアティブの存在はポルトガルの繁栄するスタートアップ・コミュニティに国内外の民間リソースが流入し続けることを保証しているといえる。

ポルトガル最大の都市リスボンとポルトは、Scale Cities Alliance の一員である。ヨーロッパ13都市の公共エコシステム構築者によるこのコラボレーションは、ヨーロッパで最もつながりのあるテクノロジーハブを作ることを目的としている。さらに、インキュベーターの全国的なネットワークにより、主要な拠点以外でもサポートを受けながら起業し、コンセプトを発展させることが可能になっている。

またリスボンは、世界有数のテックカンファレンスであるWeb Summitの開催地でもあり、世界中から数千人の創業者や投資家が集まり、貴重なネットワーキングの場となることで知られる。2021年、このカンファレンスにおいてポルトガル政府のイニシアチブであるEurope Startup Nations Alliance (ESNA)が発表された。リスボンに本部を置くESNAは、スタートアップのための条件改善で欧州政府を支援することをミッションとしている。また2021年には、マデイラ地方政府がスタートアップ・マデイラを通じて、大西洋に浮かぶマデイラ島とポルト・サント島にデジタルノマドを呼び込むことを目的としたイニシアチブ「Digital Nomads Madeira Islands」を立ち上げた。

Startup Portugalは、ポルトガルでの事業立ち上げに必要な情報を網羅したOne Stop Shopを通じて起業家を支援し、オンラインとオフラインの両方で起業家や投資家を1対1でサポートしている。また、起業家コミュニティを集めて毎月関連したトピックを議論するAbove and Beyond Hangoutも開催している。Startup Grindは、ポルトガルのいくつかの地域で幅広く活動している。

それでは、こうした取り組みが実を結んだ事例を紹介しよう。ポルトガルはこれまでに、デジタル理学療法で世界的に有名なSWORD Health、ローコードのエンタープライズ開発プラットフォームOutSystems、高級ファッションのオンラインプラットフォームFarfetch、金融リスク管理のRiskOpsプラットフォームFeedzai、クラウド型コンタクトセンターとAIソフトウェアのTalkdesk、グローバル人事ソリューションを提供するRemoteなどのユニコーンを輩出している。また、アメリカで創業し、ポルトにオフィスを構えるデジタルアセットプラットフォームのAnchorageも2021年にユニコーンを達成した。



トップクラスの人材を惹きつけるマグネット

ポルトガルの社会は、その根底に安定した魅力がある。世界平和度指数で4位にランクされたポルトガルは、自由な感覚の恩恵を受ける多様で包括的な社会を育んでいることで知られている。InterNations Expat Insider調査による外国人居住者の生活の質では世界第3位であり、世界中の優秀な労働者がポルトガルに集まってきている。

ポルトガルの世界的な魅力は、地元の豊富なリソースによって補完されている。ポルトガルの4つの大学は、2021年のフィナンシャルタイムズ誌のヨーロッパビジネススクールランキングにランクインし、7つの大学はQS世界大学ランキングに掲載されている。さらに、EF英語能力指数によると、ポルトガルの英語能力は世界第7位であるため、ポルトガルの大学卒業生は国際的に成功する態勢を整えているといえる。Academia de Códigoや42、Ironhack、Le Wagonなどのエンジニア向けワークショップやブートキャンプが充実、技術者を目指す人やスキルアップを目指す人にとっても良い環境が整っている。またGSER2021以降、特許生産量の移動平均は71%増加し、イノベーションが活性化していることがわかる。


開かれた社会と質の高い教育環境は、スタートアップを積極的に奨励する政府の政策によって支えられている。人気の高いインセンティブには、スタートアップビザプログラムとテックビザプログラムがあり、投資、人材、イノベーションをこの国にもたらす人たちのために、拠点移動を早めるための2つのオプションがある。Startup Voucher制度は、デジタルやグリーンエコノミーの実現が目されるスタートアップを目指す創業者向けに今年リニューアルされた。このプログラムではリスクを最小限に抑え、起業の障壁を低くして、若い起業家が自分のアイデアに命を吹き込めるよう支援、起業をより身近なものにしている。Startup Portugalのような官民合同の仲介機関は、起業家、投資家、インキュベーター、政府間の情報、リソース、サポートのスムーズな流れを保証している。

世界最高水準のインフラ

2021年のOECDのレポートでは、ポルトガルは光ファイバーの接続性で世界第11位にランクされているとともに、世界で初めて、すべての公立学校に光ファイバーによるインターネット接続を提供した国でもある。さらに、5Gへのアクセスも全国に広がっており、地域の通信サービスプロバイダーであるNOSは、Amazon Web Services (AWS)と協力し、"ポルトガルの起業家コミュニティによる5G利用の研究開発の活性化 "を目的とした投資ファンド、5G Acceleratorを立ち上げた。
 
技術的なインフラに加え、ポルトガルは制度的な知識の豊富なネットワークも提供している。160を超えるインキュベーターの全国ネットワークは起業家が成功するために必要なサポートやリソースを確実に受けることができるようにしている。IDCのStartup & Entrepreneurial Ecosystem Reportによると、ポルトガルの創業者の65%が起業の初期段階でインキュベーターのサポートに頼ったと回答している。


欧州市場へのグローバルなゲートウェイ

ヨーロッパの南西端に位置するポルトガルは、5億人以上の人口を抱えるヨーロッパへの進出・拡大を目指すスタートアップにとって理想的な玄関口だ。アメリカ、カナダ、ブラジルに最も近いヨーロッパの国として、スタートアップはポルトガルでビジネスを行うことにより世界有数の市場と連携することができる。ポルトガルのスタートアップはライフサイクルの早い段階でグローバルマーケットを優先する戦略を採用しており、これは成功への道筋をより効率的にすることができる。

2,000キロメートル以上の海岸線を持つポルトガルは、170万平方キロメートルに及ぶ世界最大級の排他的経済水域を持ち、そこには非常に多様な生態系と資源が存在している。ポルトガルの海の三角地帯 (本土、マデイラ諸島、アゾレス諸島)は、欧州大陸に隣接する空間でEU加盟国の管轄下にある全海域の48%を占めている。

またポルトガルの大陸棚 (200海里以遠)は、海洋の天然土壌や底質資源の保全・管理・利用を目的として、国連と境界画定作業中であり、その面積は排他的経済水域に加えて410万平方キロメートルとなり、ブルーエコノミーに関する新しい事業にとってポルトガルはさらに魅力的になっている。

ポルトガルは、ヨーロッパ展開のための完璧な足掛かりである。地理的に効率的で、世界レベルの人材、コミュニティ、インフラを持つポルトガルは世界中のスタートアップが検討する価値のある選択肢といえる。



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