The Global Startup Ecosystem Report 2022

アジアのインサイト、ランキング、エコシステムのページ

2020年に世界銀行が発表した最終報告書「Doing Business」では、世界でビジネスを行うのに適した場所として、シンガポールが2位、香港が3位、韓国が4位にランクインした。アジアは多様性のある地域で、膨大な数のTech系スタートアップが存在し、北京はGSERのランキングでも長年トップを維持しているが、今年は少し違った様相を呈している。

インドでは、大規模なExitやアーリーステージラウンドの企業の数が急増し、エコシステムの価値が大幅に増加した。同国は2021年に44社のユニコーンを輩出し、Exitは140億ドルに上り、2020年の10倍となった。デリーとムンバイがベンガルールに加わり、総合ランキングではトップ40に入った。エコシステム創出の取り組みやスタートアップ重視の政策が、この動きを後押ししている。

一方、アジアの主要プレイヤーである中国は政府の規制の影響を受けている。2021年、北京は反競争やデータプライバシーなどの問題を理由に多くの企業を取り締まった。7月に中国政府が自国のEdTech産業を追い込み、12月には海外IPOの制約を強化したことで、世界の投資家が被害を受けた。2021年、中国では5000万ドル以上の大規模なExitの伸びと、アーリーステージの資金調達額は減少したものの、北京と深圳に限っては10億ドル以上のExitが増加した。

中国は依然としてスタートアップ大国であり、Bloombergによれば、2021年のベンチャー投資額は1300億ドルを超え、2020年に比べて約50%増加した。しかし、アジアのTech系スタートアップに関連する事象は、かつてほど単純なものとして捉えることが困難になっている。

主な調査結果

  • アジアでは、2020年から2021年にかけて、5000万ドル以上のExit額が312%増加した。


  • アーリーステージの資金調達額は、2020年から2021年にかけて69%増加した。

  • ソウルは、2020年の20位、2021年の16位から順位を6つ上げ、初めて世界でトップ10のエコシステムとなった。

  • インドのいくつかのエコシステムが順位を上げ、中でもデリーは2021年より11位上昇して26位となり、初めてトップ30入りを果たした。ベンガルールは昨年から1つ順位を上げ、22位となった。


  • 日本では、2020年から2021年にかけてExit額が113%増加し、シリーズB+ラウンドでは25%増加した。(※世界のExit額の増加率の中央値は77%)


  • 北京は、アーリーステージの資金調達に伸び悩み、2021年から1つ順位を下げ、世界第5位となった。


  • 中国のスタートアップ・ハブのパフォーマンスが、GSERが追跡調査を行って以来、初めて低下した。調査した13都市のうち8都市が今年のランキングで順位を下げた。