The Global Startup Ecosystem Report 2022

北米のインサイト、ランキング、エコシステムのページ

シリコンバレー、ニューヨーク、ボストンがある北米は、スタートアップを輩出する世界的なリーダーで、そのシェアは47%に上る。しかし、他の地域と同様に、北米の創業者は、確立された主要なエコシステムの外での起業を選択する傾向が増え、新たなイノベーションのハブを創出している。アーリーステージ投資におけるシリコンバレーの世界シェア(ドル換算)は、2012年の25%から2021年には13%に低下している。アーリーステージの資金調達はテクノロジーの未来を示す先行指標であるため、この傾向から、他の地域でのテクノロジーの成長がシリコンバレーよりも速いペースで進むことがうかがえる。

2021年に北米のTech系スタートアップの300社以上がユニコーンの地位を獲得し、2020年の100社未満から見事な飛躍を遂げた。世界のTech系ユニコーンの合計が540社の中で大きな割合だ。この地域では、2020年から2021年にかけて、5000万ドル以上のExitが105%増加した。アーリーステージの資金調達は2020年以降43%増加し、シリーズB+の資金調達は同期間に140%とはるかに大きな伸びを示した。

この地域最大のExitは暗号通貨取引所Coinbaseで、2021年4月にナスダックにIPOした際の評価額は850億ドルだった。統合データ分析プラットフォームの開発企業であるDatabricksは、2021年8月にシリーズHラウンドで16億ドルを調達し、この地域最大の取引を確保した。

トロント・ウォータールーは、カナダを代表するエコシステムで、17位にランクインしている。この地域には、遺伝子治療会社のDeep GenomicsやAIプロセッサメーカーのTenstorrentなど、AIスタートアップが世界で最も集中している。バンクーバーとモントリオールはスタートアップのエコシステムが盛んで、バンクーバーではオンラインIDマーケットプレイスのTrulioo、リーガルソフトウェアのスタートアップClio、NFT企業のDapper Labsなど、GSER2022年時点で5社のユニコーンが誕生し、モントリオールでは旅行アプリHopperなど4社のユニコーンが誕生している。

アメリカの投資家は、2021年のドライパウダー保有額が2020年比で平均2億5200万ドルから5億700万ドルと101%増加し、アクティブな投資家のドライパウダーの合計は、金額にして20%増加した。同時期のレイターステージの資金調達は金額で137%、ラウンド数では39%増加し、アーリーステージの資金調達は金額で43%増加した。


主な調査結果

  • 北米は依然として世界有数の地域であり、世界トップシェアの47%を占める。

  • アーリーステージの投資におけるシリコンバレーの世界的なドル建てシェアは、2012年の25%から2021年には13%に低下しており、世界のその他の地域におけるテクノロジーの成長は、シリコンバレーよりも速いペースで進むことが示唆されている。

  • 2021年に世界で誕生した540社のユニコーンのうち、312社以上が北米で誕生している。2020年、北米は83社のユニコーンを輩出した。

  • デンバー・ボルダーは2021年から3つ順位を上げ、24位を獲得した。コロラドのエコシステムは、アーリーステージの資金調達において金額、件数ともに増加しており、「Connectedness」においても大きな成長を示している。

  • マイアミは31位タイで次点に浮上した。5000万ドル以上の投資案件が11件、10億ドル以上の投資案件が2件行われた。マイアミは、アーリーステージの資金調達で15%増加し、取引額で149%増加した。ちなみに、アメリカのエコシステムのアーリーステージの調達金額の増加率の中央値は19%である。